欧州連合(EU)の外交責任者カヤ・カラス氏は、トランプ政権からの「愛のむち」を受けて、欧州が国防支出を強化していると述べ、アジア太平洋地域との関係強化の必要性を訴えました。
カラス氏は、シンガポールで土曜日に開催されたシャングリラ防衛フォーラムに出席し、米国のピート・ヘグセス国防長官の発言に応じる形でコメントしました。ヘグセス長官は、トランプ氏が同盟国に対し軍事支出の増加を求めた姿勢を「厳しい愛」だと表現しました。
その後、ヘグセス長官の発言について質問されたカラス氏は、「それでも愛には変わりありません。無関心よりは良いと思います」と冗談めかして答えました。
トランプ大統領は一貫してNATO加盟国に国防費の増額を求め、GDPの5%を目標にするよう迫り、「米国はもはや“ただ乗り”を容認しない」と強調してきました。
これに関連し、カヤ・カラスEU外交責任者は、「ヨーロッパにはさまざまな国がありますが、防衛に投資すべきだと早い段階で認識していた国もあります」と述べました。
さらに、「私たちがより多くの取り組みを進めていることは良いことですが、私が強調したいのは、ヨーロッパの安全保障と太平洋地域の安全保障が密接に関連しているという点です」と述べました。
EU、「強硬防衛」へと転換
カラス氏はウクライナに言及し、北朝鮮の兵士がすでに活動していることや、中国がロシアに軍事装備を提供していると指摘しました。
「米国防長官の演説には中国に関する非常に強いメッセージが含まれていました」とカラス氏は述べました。
また、「中国を懸念するであれば、ロシアについても同様に懸念すべきだと思います」と語りました。
EUはアジア太平洋地域で、防衛分野を含めた「相互の利益に基づくパートナーシップ」を構築したいと考えています。
カラス氏は、「欧州連合はこれまでの平和プロジェクトという枠組みを見直し、『強硬な防衛』を伴う新たな枠組みへと方向転換しました」と述べました。
「私たちは急速にグローバルな安全保障パートナーになりつつあります」と語りました。
一方、先に発言したヘグセス氏は出席者に対し、「欧州の同盟国に自国の安全保障をより多く担い、防衛への投資を促しています」と述べました。
「トランプ大統領のおかげで、彼らは積極的に対応し始めています」と話しました。