国際エネルギー機関(IEA)は木曜日、AIアプリケーションの普及により、データセンターの電力消費量が2030年までに2倍以上になるとの見通しを示しました。これにより、エネルギーの安全保障やCO2排出削減目標に新たな課題が生じるとしています。
一方、IEAが初めて発表したAIのエネルギーへの影響に関する報告書では、AIには電力の生産と消費をより効率化する新たな可能性があると指摘されています。データセンターは2024年時点で世界の電力消費の約1.5%を占めており、過去5年間で年平均12%のペースで増加しています。
生成AIは、巨大なデータベースに蓄積された情報を処理するために莫大な計算能力を必要とします。現在、米国、ヨーロッパ、中国が世界のデータセンター消費の約85%を占めており、大手テクノロジー企業は電力需要の増大をますます認識するようになっています。
その一例として、グーグルは昨年、AI競争における電力需要に対応するため、小型原子炉から電力を供給する契約を締結しました。
マイクロソフトは、1979年に米国史上最悪の原子力事故が発生したスリーマイル島の新たな原子炉からの電力を活用する計画です。また、アマゾンも昨年、自社のデータセンター向けに原子力エネルギーを利用する契約を結びました。報告によると、現在のペースが続けば、2030年までにデータセンターは世界の電力消費の約3%を占める見込みです。
IEAはまた、2030年までにデータセンターの電力消費量が約945テラワット時(TWh)に達すると予測しています。報告書では、「これは、現在の日本全体の電力消費量をわずかに上回る数値です。AIはこの成長を牽引する最も重要な要因であり、その他のデジタルサービスへの需要の増加も一因です」と述べられています。
報告書によると、出力が100メガワットのデータセンター1つで、10万世帯分の電力を消費する可能性があります。しかし、すでに建設中の新たなデータセンターでは、その消費量が最大で200万世帯分に達する可能性があると指摘されています。
また、パリに本部を置くエネルギー政策の国際的な助言機関であるIEAは、「AIは今後10年間でエネルギー分野を大きく変革する可能性を持ち、世界中のデータセンターからの電力需要の急増をもたらす一方で、コスト削減、競争力の向上、排出量の削減といった大きな機会をもたらす」と述べています。
AI分野で中国に先んじることを目指し、米国のドナルド・トランプ前大統領は、電力生産の拡大を目的とした「国家エネルギー支配評議会」の設立を発表しました。
現在、データセンターの電力の約30%は石炭によって供給されていますが、主要市場においてコストが低く、供給が安定しているため、再生可能エネルギーと天然ガスの割合が今後増加すると予想されています。
IEAは、データセンターの成長により、電力使用に伴う二酸化炭素排出量が現在の1億8,000万トンから、2035年までに3億トンに増加すると発表しました。ただし、2024年に推定された世界全体の排出量(416億トン)と比べると、非常に小さい割合にとどまります。