2025年7月16日
JR東日本は、今年度から鉄道車両や線路、電気設備の保守を目的とする「特定技能」取得を目指す外国人向けの研修プログラムを始動させます。年間最大100人の研修生を受け入れ、実務経験を通じて鉄道保守の基礎から専門技術までを養成する見込みです。
JR東日本が5月に開始した最初の研修には、インドネシアやベトナム出身の25人が参加しており、夏以降に現場での就業を予定しているとWork Japanによると伝えられています。また、この取り組みは鉄道業界の深刻な人手不足に対応するものであり、同社の社長も「鉄道の持続的運営に向け、外国人の育成は不可欠だ」と述べています。
日本ではこれまで、主に1993年に始まった「技能実習制度(TITP)」が外国人労働者の中心でしたが、労働環境や人権面での問題が繰り返し指摘されてきました。
その後、2019年には「特定技能制度(SSW)」が導入され、技能試験や日本語能力を条件としたより専門性の高い受け入れが進んでいます。
出入国在留管理庁と厚生労働省によると、2024年10月時点で日本の外国人労働者数は約230万人に達し、そのうち「特定技能」在留資格者は14万人超です。これらの人々は介護、建設、製造業などの分野で働いています。
一方で、賃金格差や労働移動の難しさなど、制度の課題も依然残ります。
今回始まったJR東日本の研修プログラムは、鉄道業界が直面する人材確保の課題に対応する取り組みの一つです。また、日本の外国人労働政策が、これまでの「実習」から「技能」と「定着」へと少しずつ方向を変えつつある現状もうかがえます。