米国国防総省は、2026年度予算において「対ISIS訓練・装備基金(CTEF)」の下で、YPG主導のSDFを含むシリアの武装勢力への支援として1億3,000万ドルを計上しています。
国防総省が公表した2026年度予算の正当化文書によると、この基金は、米国が支援するSDFおよびシリア南東部を拠点とするシリア自由軍に対する訓練、装備、月額手当の支給を目的としています。また、イラクやレバノンにおける「審査済みの協力部隊」に対する支援も含まれています。
軽火器のほか、医療用品や施設の修復費用も支出対象に含まれているとした上で、同文書は「ダーイシュ(ISIS)の再興は、米国の国益、イラク、シリア、レバノンの人々、そして国際社会に対する脅威である」と警告しています。
YPGは、トルコ、米国、EUによってテロ組織に指定されているPKKのシリアにおける分派とされています。
最大の支援先はPKK/YPG系武装勢力に
米国国防総省の2026年度予算でシリア向けに計上された1億3,000万ドルのうち、742万ドルはシリア自由軍に充てられており、同軍はバディヤ砂漠に残るダーイシュの残党に対する影響力を「拡大することが期待されている」と文書には記されています。
しかし、資金の大部分はSDFに向けられています。
今回の資金拠出は、ダーイシュとの戦いを名目に、米国が2025年に1億4,790万ドル、2024年に1億5,600万ドルをシリアの同様の武装勢力に提供してきた流れを受け継ぐものです。トルコはこうした正当化を、国境付近のテロ組織に武器を供与するための口実にすぎないと長らく批判しています。
トルコ、米国、EUによってテロ組織に指定されているPKKは、40年以上にわたる武力闘争の中で、民間人や女性、子どもを含む4万人以上の命を奪ってきました。
トルコは、いかなる名目であれPKK/YPGに装備を提供することは、テロへの直接的な支援にあたると主張しています。