ヨーク大学とロンドン大学衛生熱帯医学大学院(LSHTM)の研究者による大規模なレビューによると、電子タバコを使用する若者は、喫煙を始める可能性が高く、より広範な健康リスクに直面することが分かりました。
「レビュー・オブ・レビュー」と呼ばれるこの研究では、電子タバコの使用が後の紙巻きタバコ喫煙と関連する一貫した証拠が確認され、喘息、咳、気道の炎症、精神的健康問題、薬物使用などとの関連の可能性も示されています。
研究者たちは、因果関係を明確にするためにはさらなる研究が必要であると強調する一方で、現時点での証拠の重みは、電子タバコへの若者のアクセスを厳しく制限することや、より徹底した公衆向け教育キャンペーンを含む予防的な政策を支持していると指摘しています。
電子タバコの常用はより大きなリスクを伴う
ヨーク大学健康科学部の准教授スー・ゴルダー氏は、以前のレビューでも、ソーシャルメディアで電子タバコを宣伝することが若者の使用を促していることが示されていたと述べました。
最新のレビューでは、電子タバコが習慣的に使われるようになった場合に起こる事態が懸念されると指摘しています。
ゴルダー氏は、「証拠の一貫性は際立っています。複数の研究で、電子タバコを使用する若者は将来的に喫煙を始める可能性が高いことが示されています」と述べました。
ゴルダー氏はさらに、「これらの結果は、若者を電子タバコのリスクから守るためのより強力な公衆衛生対策を支持するものです」と述べました。
分析によると、電子タバコを始めた若者は、単に紙巻きタバコに移行する可能性が高いだけでなく、喫煙の頻度や量も増える傾向があることが分かりました。また、多くの若者では、電子タバコ使用の後にアルコールやマリファナの使用が続くことも確認されました。
精神的健康への懸念
このレビューでは、電子タバコの使用と喘息や気道の炎症などの呼吸器問題との関連が指摘されました。また、思春期の若者において、電子タバコ使用と抑うつや自殺念慮との関連も懸念される結果が示されました。ただし、専門家は、精神的健康へのリスクを十分に理解するためには、さらに研究が必要であると注意を促しています。
多くの若者は、ニコチンへの依存、渇望、禁煙の難しさを報告しています。しかし、発達中の脳に対するニコチンの影響について懸念があるにもかかわらず、詳細に調査した研究はほとんどありません。
ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の臨床准教授グレッグ・ハートウェル氏は、「私たちのレビューは、電子タバコが若者に及ぼすリスクの全体像をこれまでで最も包括的に示すものです」と述べました。
さらにハートウェル氏は、「特に、喫煙への移行に関する一貫した証拠が見られました。これは当然、従来の紙巻きタバコがもたらすさまざまな害への扉を開くことになります」と説明しました。
緊急の研究と販売禁止の要請
研究者たちは、電子タバコが脳の発達、心血管の健康、口腔の健康、さらにタバコとの併用にどのような影響を与えるかについて、長期的な追跡研究をさらに進めるよう呼びかけています。
彼らは、これらの知見の不足が解消されるまでは、若者を電子タバコの潜在的な長期的害から守るため、公衆衛生上の対策は慎重に行うべきだと主張しています。
世界保健機関(WHO)の2023年の報告によると、121か国・地域が電子ニコチン供給システム(電子タバコ)に関する規制を導入しています。そのうち33か国・地域では販売が全面的に禁止されており、87か国・地域では年齢制限、広告規制、屋内公共施設での使用禁止などの措置が採用されています。
しかし、規制は依然として不均一です。報告書によると、74か国、20億人以上が居住する国々では、電子タバコに関する規制が全く存在していません。これには、中所得国の約40%、低所得国のほぼ80%が含まれ、これらの国々では当局がまだ規制措置を講じていない状況です。