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ユネスコ世界遺産が悲鳴:日本各地で進む「オーバーツーリズム」問題
訪日観光客の増加により、日本の世界遺産は静けさと持続可能性を失いつつあります。
ユネスコ世界遺産が悲鳴:日本各地で進む「オーバーツーリズム」問題
奈良県、日本 / 写真: AFP
10時間前

2024年、富士山はかつてない観光客の数に直面し、登山道では放置されたごみが自然景観を損なう深刻な問題となっています。その対策として、吉田ルートでは予約制と課金制度が導入され、1日の登山者数を4,000人に制限する措置が取られました。

岐阜県の世界遺産・白川郷では、約1,500人の住民に対して年間およそ200万人が訪れ、ごみの持ち帰り・騒音・無断立ち入りといった問題が目立つようになっています。

それに対応して、ライトアップ時の完全予約制の導入や、村民による放水銃を使った防火訓練の徹底など、観光と住民が共存できる仕組みづくりが着実に進められています。

沖縄県竹富町にある西表島では、ユネスコの世界自然遺産登録を受けて、2025年3月から「特定自然観光資源」として指定された5カ所(ピナイサーラの滝など)において、1日あたりの入域者数を200人〜30人に制限する制度が導入されました。

この取り組みは自然環境の保全を目的としており、認定ガイドの同行か、事前講習の受講が必須とされていることが、地元自治体の公式サイトで案内されています。

北海道小樽市の「船見坂」では、映画の撮影地として注目を集める中、2025年1月に観光客が線路内に立ち入り、列車にはねられて死亡する事故が起きたと報じられています。

これを受け、地元自治体は周辺に複数の警備員を配置し、危険行為やマナー違反の防止に取り組んでいると、CNNなどが伝えています。

増加する観光客と地元住民の生活コストの格差を背景に、観光施設をはじめとする各所で「二層価格制度」の導入が検討されていると、大和総研の報告が伝えています。

例えば、姫路城では市民に対しては現行の1,000円を維持し、外国人観光客などのその他の訪問者には2,500円を適用する方針が示されています。

こうした制度は観光収入の安定確保と過密緩和の両面で効果的である可能性があると指摘されています。

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